しっかりした子、というのがムスメの印象で、それは自他ともに認める
部分であろうが、この自他ともに、というところがかえって大変だなあと
いつも思っている。
しっかりした子なんだから失敗はしない、という打たれ弱さみたいなものだ。
新しい学校に通うことになっても「しっかりした子は大丈夫だから」と
廻りの人が言っている。しっかりしなくてはいけない、という緊張感が
あるのだろう。

めずらしく朝から、ない、ない、と机の周りで慌てている。
笛がない、今日は音楽の授業があるのに、と慌てている。
どうして昨日のうちに準備しておかないの!と怒りながら
「こんなことはめったにないことだなあ」とぼんやりと思う。
年末に教会のクリスマス会で笛を使ったから、もしかしたら
教会に忘れてきたのかもしれない?と聞いてみるが
分からない、分からない、とパニックだ。

実は前日に、大事にしていた携帯電話のおもちゃの細かいところに
入れてはいけない小さい紙を入れ込み、壊してしまったということもあった。
いつものムスメなら考えられないことだ。

出来の悪い言うことを聞かない年の離れた弟がいるせいで
注目はなにかと弟に集まり、「手のかからない良い子」の
ムスメは大人っぽく振舞うことを求められることが多かった。
本人の素質もそういうものだった。
ないよう、ないよう、と鼻水をたらしながら泣く娘を見て、
この子も大変だよなあ、と思う。

(笛はムスメが「そこは見たもん!」と言っていた棚にあっけなく
置いてあった。夫が見つけた。お手柄。)