ひとりぼっちの記憶。


4歳の頃、幼稚園で英語の授業があった。
英語っつっても園児が声をそろえて単語を叫ぶくらいなもんだけど。

講師の先生が、絵のカードを持って、「これはなんですかー?」と聞くと、

鼻水たらしながら答える寸法だ。
花くらいなら田舎のちびっこでも簡単だ。

「おー、じゃ、これはどうだ?ちょっと難しいぞう!」

「………。」
静かな教室。
…静かだ…。
…でも…わたしはわかるよ…。

「すごい!分かる人がいるんだね!じゃ、答えてくださいーい。」

「…」


このあとの風景は昨日のことのようにはっきりと覚えている。

ものすごく困った表情のおにいさんと、

静まり返ったおともだち、そして、

泣きながら椅子から落ちていく先生…。

ぽつんとひとりぼっちで立ち上がりながら、

「トンカツって英語じゃないんだな…。」

と、思ったときにはもう涙で向こう側が見えない。